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その後、京子はいつもの暗くて大人しい京子に戻り、鋏の一件の時のように心の乱れを露わにすることはありせんでした。
アツシにしても、京子に関わるのが怖くなったのか、それとも担任に呼び出しを受けたのが堪えたのかはわかりませんが、京子をからかおうとはしなくなりました。
たまに、遠くから
「おばけ、まじキモッ」とつぶやくことはありましたが。
京子の方は聞こえているのかいないのか、涼しい顔で外を眺めたまま相手にもしていない風でした。
京子は、誰も寄せ付けようとはしません。
ただの引っ込み思案という風でもありません。
頑なに、人と交わるのを避けていました。
何故、そんなにも人を避けているのか……
その理由は、その時の私にはまだ分かりませんでした。
ただ、クラスの中で孤独だった私にとって、京子だけが気になる存在だったのです。
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