京子

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私が転校してきて一ヶ月以上経った7月の初め…… 私は相変わらずクラスに馴染めないままでいました。 雨が何日か続いたあとの、久しぶりの晴れの日…… 京子は風邪をひいてお休みをしました。 「誰か今日、桜木さんにプリントを届けてもらえますか? 自宅の近い人」 担任の小柳先生がそう言いながら、クラス中を見渡しました。 そして私に目が留まると、 「浅羽さんの家が一番近いと思うのだけど…… 浅羽さん、桜木さんの家、分かるかしら?」 意外な事実でした。 そう言えば、クラスの誰とも一緒に帰ったことがなかったので、 誰が近所に住んでいるのかも知りませんでした。 ですが、京子の家に興味がありました。 「……私が届けます。 ハッキリとした場所が分かりませんので、教えてもらえますでしょうか」 小柳先生は、ちょっと考えた風をしてから、 「それじゃあ、神田さん。 遠回りさせて悪いけど、浅羽さんと一緒に届けてくれる?」 リーダー女子の神田ミヤにプリントが差し出されました。
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