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それまで通っていた小学校は私立だったので、校章の入った黒のランドセルが指定でした。
制服も指定でしたので、制服のない公立の小学校に何を着たら良いのかも分かりませんでした。
「浅羽さんって、大人しいんだなぁ」
「アツシが変なこと言うから、気分悪くしたんだよねぇ?」
「いいえ、そんなことありません……。
……前の……私立の学校の指定ランドセルなんです、これ」
リーダー女子が、明らかに嫌な顔をしました。
「ふ~ん、お嬢様だって言いたいの?
だったら公立に転校してくることないじゃん」
冷たい口調に、一緒にくっ付いてきた女子達は一瞬誰もが口をつぐみました。
どうやら、このリーダー女子と私との成り行きを静観しているようでした。
その空気を破ったのは、先ほどの男子です。
「お前ら、ガサツばばぁとは育ちが違うってことだよ」
「また!いちいち煩いんだよ、アツシは!お前、ぶっ飛ばすよ!」
どうやら、私は皆に気に入られなかったようです。
私も、不躾な彼らとは仲良くなれる気がしませんでしたが。
「つまんないから、皆行くよ」
「待ってよ、ミヤ!」
ミヤと呼ばれたリーダー女子の後を、周りにいた子達は追いかけて行ってしまいました。
私は溜息をつきながら、前の学校の校章がついたランドセルにノートを仕舞いました。
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