始まりの出会い

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僕には家族がいない というより、物心ついたときには孤児院に入れられていた。 ここはあまりにも閉鎖された空間で 毎日同じことが繰り返される なんの刺激もない場所だった 僕はこの場所が嫌いだった もっと外の世界を知りたいのに、外には出ては行けなくて… だから本を読んで世界を知ろうとした でも、字を知らない、というより真面目に字の勉強をしてない僕は本が読めなかったのだ いつもと同じ部屋でいつもと同じように眠れないでいると、外から歌が聴こえた ――今までに聴いたことがないような歌が 気が付いたら僕は部屋を抜け出していた この閉鎖空間を囲む塀をよじ登り、声の聞こえる方へ走り出していたのだ 走るのに夢中で 手や足にできた傷にも気付かないで 必死に森の中を走った すると視界が開き、そこには街があった
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