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「あっくん、見てないの?」
「うん、見てない。
なんとなく話はしってるけど。」
彼が指をさしたDVDは・・
『フレーズ』。
「ソラさんが演技してんの、
興味あるんだよねぇ~(笑)」
アツキがにやにや笑いながら
DVDを手に取った。
この『フレーズ』とは。
アツキやケイが
小学校高学年くらいの時に
やっていたバンドものの青春ドラマ。
その物語に出てくる
schwarze katzeという
バンドメンバーの一員として
ソラが出演しているのである。
「結構笑えるよ(笑)
兄貴、ほとんど台詞ないし。
ほとんとキリヤメイン。」
「まぁキリヤが。
主役だし。」
彼はそういって。
DVDの表紙にでかでかと映ってる
キリヤを見つめる。
真っ白な肌。
切れ長の綺麗な目。
・・本当に
綺麗な顔をしているんだ。
「でも、金髪さんが。
あの事件に関わってたなんて。
思いもしなかった。」
思わず、口に出してしまった。
ケイの言葉にアツキの表情が
少し曇る。
・・。
気軽に言っちゃいけなかったかな・・
けれどもアツキは
ケイの気持ちを悟ってか
苦笑いをしながら舌をだした。
「ね、俺も、驚いた。」
・・
キリヤとは
そのドラマの主役で。
schwarze katzeの
ボーカリスト役だった。
驚異的なカリスマ性で
schwarze katze・・いや、
キリヤは一躍大人気。
ドラマが終了しても
バンド活動を続け
オリコン上位にその名前を轟かせ
ライブ活動も精力的に行った。
しかし、2年間ほどで
schwarze katzeは解散。
理由?
発表上は音楽性の違い。
しかし本当は
完全なる、空中分解。
キリヤの独裁体制に
メンバーが我慢できなくなったのだ。
特に、キリヤとソラが
非常に仲が悪かったようだ。
キリヤはschwarze katze解散後も
音楽活動を続けた。
ソロ、バンド・・
いったいいくつ渡り歩いたのか
詳しくは知らない。
そして彼が最後に組んだバンドが
Vanilla。
そのVanillaのベーシストが。
金髪さん・・
moon side teaterのベーシスト、
キラだったんだ。
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