The last present

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・・うっひゃあ。 何この人の数。 今から祭りでも始まるわけ? 新宿のど真ん中。 人の多さに眩暈を覚える。 10年ほど前までは 毎日見ていた景色。 ・・ゆっくりとした田舎町で 数日前まで暮らしていたせいか。 すっかりこの雑沓のうるささを あたしは忘れてしまったようだ。 この人ごみをかき分けて 家に帰る元気はわき起こらない。 兄貴に電話しよう。 迎えに来てもらおう。 ・・あたしの名前は古瀬螢。 つい半日ほど前、 日本に着いたばかり。 プルルルー 無機質な着信音が耳元で響く。 『・・あーはい。もしもし。』 7回目のコールが切れたと同時に 聞こえた不機嫌そうな声。 あたしの実の兄。 ・・半分しか血が繋がっていないけれど。 後ろは何やらがやがやうるさい。 飲み屋か どっかにいるのかな? 「あー兄貴? 終わったよー。 迎えに来てほしいー。」 『あー、無理だわ、ごめん。』 「えーなんで? 今新宿だよー?遠いー?」 『だって酒飲んでるもん。』 お酒飲んでるー? 迎えに行くよって こないだいってたのに。 「そんなの平気じゃん、 今だってまともに会話できてるし。 そんなに時間とんないしー。」 『は!?飲酒運転しろと? お前は・・無茶だってそれ。』 「えーパパは気にしないよ。」 『あのな、 親父の時代とは違うの。 親父の時代だって飲酒運転は 犯罪だったけど(笑) タクシー拾えよ。』 「タクシーいない。」 嘘だ。 目の前で さっきから数台のタクシーが通ってる。 なんか、さ。 嫌なんだよね。 知らない男の人と 密室にいなくちゃいけないの。 昔は・・ そうでもなかったんだけど。 『じゃあ電話しろ。』 「番号知らない。」 『番号? そんなもん、自分で調べろ!』 「調べ方、わかんない。」 ちょっと、粘ってみる。 さぁどうくるか・・。 はぁ・・ 彼のため息が 電話越しで聞こえる。 『あ? ・・ったく。 今番号メールすっから。』 やっぱり来てくれないか・・
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