The last present

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「なんかよくわかんないけど。 ま、いっか。 なんだか平気みたいだし。 よかった。」 彼はそうやって。 あたしを見て笑う。 ・・もう、本当あっくんは・・ 「ねぇ、いつこっちに 戻ってきたの? 髪の色、また明るくなってたから 一瞬、わかんなかったよ。 なんか懐かしいねぇ。」 少し口を尖らして でも能天気に 彼は話し始めた。 「今日、だよ。 ちなみに染めたのも。」 「本当?」 初めて会った時も あたしの頭は明るかったからな。 彼は大げさに反応する。 もう、本当に。 人気ロックバンドの メンバーなのかな・・ 疑いたくなるね。 「ねぇ、あっくんは ここで何してたの? 人気バンドメンバーが 堂々とこんなところで歩いてたら まずいんじゃないの?」 「ちょ! 声でかいって!」 アツキはそういうと 急にキャップをさらに深くして 真剣な顔になる。 今更だと思うけど。。 あっくんことATSUKIは。 現在日本で一番人気がある、 と言っても過言じゃない、 moon side theaterという ロックバンドのドラマーである。 現在は、活動休止中・・なんだっけ? 「ってか帰ってくるなら 一言あったって・・。」 ぶつぶつ言いながら 彼は歩き始めた。 彼らメンバーもまた 1か月ほど前まで ケイが暮らしていたイギリスの 港町に滞在していたのだ。 「まぁあの時は こんなにすぐに帰ってくるとは 思ってなかったからさ。」 「へぇ。 じゃあなんか急用?」 うん、 あたしはうなづいた。
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