The last present

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「綺麗な緑でしょう。 ドレスデン・グリーン・ダイヤモンド、 っていうんだって。」 へぇ?ダイヤモンド? 緑色のダイヤモンド? アツキはそう繰り返した。 「ヒカリさんがね、くれたの。 日本に戻るって話をしたら。」 ヒカリさんが? うん、 あたしはうなづいた。 「マーキュリーさんから もらったんだって。 結婚するときに。」 ・・・マーキュリーさん・・ 彼は。 複雑そうな表情になる。 ・・うん、そうだよね。 「最初ね、 あたしももらえない!って 言ったんだけどさ。 大切に持っていたいけど 今はもうそうはいかないからって。 あたしに預けてくれたんだ。」 あの柔らかい すべてを包み込んでくれる 温かい笑顔を浮かべて 彼女はあたしに渡した。 あの笑顔を見れば 首を横にふれなくなるんだよ。 「・・ヒカリさんを守ってきた石が 次はケイを守るんだね。」 え? あたしを守ってくれる? どういうこと? あたしは思わず聞き返す。 ただ自分のそばに おいておきたくないから、 じゃないの? あたしの問いかけに アツキは得意げに口をあげる。 「だって。 その石は今までずっと ヒカリさんを守ってきたわけで。 不思議なエネルギーを 持っているわけでしょ?」 ・・。 そう言って。 アツキはにっこりほほ笑んだ。 ・・んもう、あっくんは。 本当に・・ あたしは何も言えなかったけど。 アツキが笑ってくれるから。 一緒に笑えたんだ。 それからすぐに ケイ今どこに住んでんの? なんてお気楽な話をしていたら あっという間に家に着いた。
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