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光輝はセスに倣うようにしながら覚束ない脚を車体に張り付ける。
理論の「り」の字も分からない現象に多少の不安を覚えながらも少年は現状を再確認する。
時速600km超で走る“White Bird”の外装上部にその速度を物ともせずに脚を張り付けている5人の人間がいた。
1人は断早光輝本人、もう1人はセス・ウッドマン。
そして2人の眼前に立つ2人の男性と1人の少女。
スキンヘッドに糸目、屈強な体つき、首からは大きな数珠玉群を下げ、薄そうな足袋を履いた長身の男性。
ボサボサの茶髪にトロンとした黒眼、細々とした体格には貧相とすら印象付けられる青年、背の高い下駄に、さきほどの男性と同様に小さな数珠玉群を首から下げていた。
その2人の男性に挟まれる形でひっそりと立つのは黒髪をパイナップルのようなちょんまげに結い、前髪触手がカールしている少女だった。
紺色のかぼちゃパンツに口がダルダルのブーツを履いていて、腰からはほんの1mほどの古びた剣を下げている。
この3人は共通して道着式の作務衣を着ていて、見た目から和の武人を連想させる。
おそらくは彼らが“正体不明の勢力”、“科学では解析できない力の持ち主”。
2人と3人は互いに明らかな敵意を含めた睨みを効かしていた。
絶えることなく移ろい続ける景色に眼を向けることもせずに視線を外さない。
いったいなにがどうしてこの状況が生み出されたのか。
ほんの十数分前のことである。
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