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虹の何気ない問いに依然爽やかな表情で応答するセス。
「あ、そうか、まだ僕のことについてはあまり話していなかったね。」
では、と仕切りなおしてから。
「実は僕は能力者じゃないんだ。イギリスの学園都市の協力機関から実地研修として派遣された学生研究員なんだよ。」
そういう設定である。
「君達が常日頃受けている“時間割り-カリキュラム-”を実際に体験して、自国の技術力の発展につなげるため学園都市側に招待されたんだ。」
そういう設定である。
「そーなのっ!?・・・でも一番最初の能力開発を行ってないなら私達と同じ“時間割り”を受けても意味無くない?基盤が成り立たないことには“自分だけの現実-パーソナルリアリティ-”すら観測できないわけだし。」
「んー、まあ傍から見たらそうかもしれないけど。僕がここに来た目的は“超能力を手に入れる”ことではなく、“超能力を手に入れるための方法”をより多角的に観察して、それを自国の技術力の向上につなげるためだからね。君達とは元々の趣旨が違うんだよ。」
三度目だが、
そういう設定である。
(まったく、コイツはよくもまあこうもポンポンと口から出まかせが出るもんだね・・・、)
ここまでいくと最早一種の才能なのだろう、と変に感心してしまう。
セレブ街の高級ホテルを簡単に手配したり、意見するベディを上手く丸めこんだり、アルマに“魔科学”なるものを修得させるためのあの言葉も。
このセスの才能がうまく活かされた成果でもあるのだろう。
少年の巧みに選ばれた言葉と万人受けするであろう爽やかな表情に虹と会座もすっかり才能の虜となってしまった。
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