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屋内運動場から追い立てられるように渡り廊下に出た生徒たちは、興味津々といった面持ちで口を開いた。
「そう言えば、執行部の会長、生徒会長のこと殴ったらしいよ」
ざわざわと賑わい、生徒たちは歩みを進めていく
―――此処、鬼ヶ里にはもうひとつ。珍しい体制があった
「執行部って、士都麻先輩がが木籐先輩を!?」
「あの二人、マジ仲悪いよね」
少女が声のトーンを下げる
学園には生徒会と執行部の二つが存在する。生徒会長は
――――木籐華鬼。
女癖が悪く、いつも人を小馬鹿にしたような物言いがすっかり板についた辛辣な男。教師受けは恐ろしく悪いが生徒うけはよく、気付くと生徒会長などといった不相応な立場に祭り上げられていた。それに対し、執行部の会長は……
――士都麻光晴。
華鬼同様に端正な面差しでいながら、おかしな言葉使いで気付くとつねに人の中心にいる。はじめは光晴を生徒会長に推す声が多かった。だが、執行部は球技大会だの修学旅行などの娯楽全般を盛り上げるための心血注ぐ機関だ。つまり、お祭り好きの人間が中心となって動いている
かたや学園運営などの《政》
を司り、かたやただ本当の
《お祭り》集団。
――――華鬼と光晴がそれぞれのトップに立つまでは、この相反する機関も仲良くやっていたらしい
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