鬼頭の花嫁

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―――【三】 鈍い機械音が止まり扉が開く 最上階。 明るい廊下とは対象的に この階だけが今は妙な雰囲気だ 首筋がチクチクと痛む まるで自分を歓迎していない者がこの場にいて、自分を監視しているかの様な感覚。 周りを見渡すが、自分以外の人影はない。勿論、気配だけはあるが……姿はない。 視界の端を黒影が横切る 「……な、に?」 周りを見渡すと同時に風を切る音が耳元で聞こえたかと思った瞬間には、強く腕を引っ張られその勢いのまま床へと叩き付けられた。背中の刀の袋が少し離れた場所に落ち、肺の中の空気が叩き付けられた反動で一気に抜ける。 あまりに突然のことで状況を把握しきれていない桜は、少しの間をおいて自分が何者かによって組みしかれていることに気付く。 「相変わらず、後ろからの不意打ちに弱いんだな」 にやりと桜を襲った男は微笑む。さらりと揺れる銀髪を見つめ、息をのみ、桜は動きを止めた
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