序章

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制服に袖を通すのと殆ど同時に、静まりかえった部屋に携帯電話の着信音が響く。 ちなみに現在の時刻は―― 「まだ、6時なんだけど……」 ベッドの隣にある机に置いた携帯を見つめ、未だに鳴り響く着信音に耐え兼ね桜は通話に応じた。 この時間帯に掛けてくるのだ 急ぎの連絡なのだろう。 「――珍しい、起きてたのか」 《第一声から失礼な奴……》 その皮肉にも似た台詞を第一声に聞き、少しばかりの間を置いてから口を動かす 「朝一で失礼な台詞をありがとう。……で、用件は?」 通話の相手。 ―――時雨律は桜の通う鬼ヶ里高校の風紀委員長だ 成績優秀な上、見た目もなかなかに整っている 「始業式だから委員長の俺と、副委員長のお前が今朝の服装検査役だから今から校門前に集合」 色々と言葉を飲み込んで、小さく返事を返した。 ――そして、面倒臭い仕事が二学期の始まりを告げる。
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