17人が本棚に入れています
本棚に追加
蘭丸が咲羅に勧めた本は 鮮やかなまでに純粋な桃色をしていた。
その純粋さが また咲羅を苛立たしくさせる。
咲羅は 鞄を片付けるとベッドに横になり早速 読み始める。
少しでも早く読み終えて また蘭丸に逢わなければ…。
やっと出来た接点を無駄には出来ない。
ちゃんと感想も言えないと変に思われる。
だから 適当になんて読んではダメ。
それは 一人の少女を想い続ける少年の話だった。
どこにでもあるような恋物語。
自分だったら まず買わないな…。
ページをめくりながら 咲羅は思った。
その時 玄関のドアが開く音がした。
そして 可愛い幼げな母親の声。
『ただいまぁ』
それを聞いて咲羅は 思わず笑いが漏れる。
自分の母親ながら語尾が伸びてしまうところが何とも可愛い。
最初のコメントを投稿しよう!