予 感

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学校帰り 咲羅は蘭丸が働く本屋に足を運んだ。 入ってすぐに蘭丸の姿を探すが そんな必要もなく彼の姿は咲羅の視界に入った。 人目を惹く外見だけに目立つらしい…。 蘭丸は 今日も本棚の整理に励んでいる。 その後ろ姿に『こんにちは』と咲羅が声をかけた。 蘭丸は振り向き『あぁ…。この前の…』と無邪気で屈託ない笑顔を咲羅に向ける。 咲羅は 控えめに会釈をすると蘭丸に微笑んだ。 『この前は ありがとうございました。 勧めてもらった小説 凄く面白くて一気に読んじゃいました』 『本当ですか? 気に入ってもらえて良かったです』 蘭丸が頭を掻きながら頬を赤らめる。 まるで あの小説の主人公みたい…。 蘭丸は きっと汚ないものなど知らないに違いない…。 どうして こうも違うのか…。 早く 汚れてしまえばいいのに…。
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