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男は ソワソワした様子でベッドに腰かけ 咲羅に目をやる。
『最初に教えて』
咲羅は男の前に立ち 視線を向けた。
一瞬 男は迷った表情を見せたが 咲羅の『約束は守るから』という言葉に安心し口を開いた。
『沢田 蘭丸。16歳
駅前の本屋でバイトしてるよ。
母親の名前は沢田 瑠美…』
男はネットや情報網を駆使して調べた内容を咲羅に伝える。
家庭環境、学校での評判…。
咲羅の為に調べた内容を ニヤニヤしながら口にする。
それに 咲羅は表情一つ変えずに耳を傾ける。
『父親の名前は…。』
その言葉に咲羅の表情が一瞬 揺らいだ様に見えたが すぐに目を閉じ小さく呟く。
『教えて…』
咲羅の脈絡のない声ですら興奮するように男は鼻息を荒げて その名前を口にする。
『沢田 大和…』
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