488人が本棚に入れています
本棚に追加
/311ページ
太陽が役割を終え、暗くなった焼け野原に、青年が1人で佇んでいる。
目の前の亡骸を見つめながら。
星と月明かりに照らされて、風と踊り燃える様な紅い髪が、炎を彷彿とさせる。
髪と同じ真紅の瞳には、似つかわしくない透明の液体が溜まっていた。
青年は周りを見渡しながら、膝を落とし思った。
何故争いは無くならない。
何故同じ世界で生きているのに、殺し合わなければならない。
「王よ……あなたの意志は私が引き継ぎましょう……」
青年は静かに呟くと、大きな鳥に姿を変えた。
姿が変わった【それ】は青年と同じ真紅の羽に、真紅の瞳、そして優雅な五色の尾羽が特徴的であった。
空高く羽ばたくと、ひたすらに天へ登り続けるのであった。
最初のコメントを投稿しよう!