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上手く働かない頭で
必死に考え、私はやっと口を開いた。
「──私と、会いたくない…ってこと?」
「そんな訳ねぇだろ。
俺は、本当は毎日知美に会いたし、ずっと一緒にいたい」
ますます雄斗の考えていることが分からなくなった。
困惑する私を見て、
雄斗はゆっくり話し始めた。
「あのな知美、俺たち、
今まで中学・高校って6年間もずっと一緒に過ごしてきただろ?
そうやって常に一緒だと、
お互いの存在の大切さとかに
気づけないと思うんだ。
それに、俺たちはまだまだ未熟だ。学ぶべきことだってたくさんある。
そういうことを学んで、
もっと大人になってから
それからの人生を
共に過ごしていきたいんだ」
「──でも、10年も会えないなんて寂しすぎるよ。
…私、雄斗みたいに強くなれないよ」
雄斗の顔が滲んで見える。
無意識のうちに、
涙があふれでていた。
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