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「ん? 中々イケるじゃん」
「ふん? なるほど。オススメするだけはあるね」
学生風の2人組は、自動ドアが閉まる前に、揚げたてのメロチキにかぶりついた。
「私もメロチキは美味しいと思います」
そう言って宮下の前に納品伝票を置いた配送センターの運転手さんは、ニコニコしている。
宮下がここで店長を始めた2年前から、ほぼ毎日ニコニコしながら1便の品物を運んでいる。
「今日は少し多めの発注ですね」
検収印の押された伝票を3つにたたんで、運転手さんはなおもニコニコ顔。
クスリと笑いながらみどりサンがレジ中から売り場に出て、検品機を右手でクルリと回した宮下が後に続く。
「また夜便の発注を飛ばしちゃったんですよ。ほら、お弁当の棚とかガラガラ」
運転手サンがチラリと見たそこは、なるほどガラガラ。
「ハハハ。店長、気をつけて下さいよ。南東京営業所の新しいSVは、相当 厳しい人だって評判ですよ」
運転手サンは肩をすぼめる仕草をして、入り口のドアへ向かった。
メロウデイ斜め町店。
朝便の品出しから、宮下の忙しい1日が始まる。
「頑張りましょうね、店長!」
宮下が検品を終えたおむすびを、みどりサンが棚に並べる。
「頑張りますよ、そりゃあ‥」
新任のSVから昨日送られて来たファックスの文面を、宮下は嫌な気持ちで思い出した。
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