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だいぶ呼吸、楽になってきたかな
そっと肌に触れる。
熱もさっきよりは引いたみたい。
良かった。
……あんなこと言われたら逆に帰れないし。
口を尖らせながら髪に触れてみる。
栗色の柔らかい髪。
起きないでよ?
この間から、この人に振り回されっぱなし。
怒ったり、ドキドキしたり。
原因はいつもこの人。
嫌な筈なのに、その気持ちに自信が持てない。
私の中で何かが変わってきてるのかもしれない。
でも、それに気づいたらいけないの。
いつかは終わる関係だから。
いずれ失うなら、何も知らないままでいい。
触れていた手を離す。
だから、これ以上私に触れないで。
あなたを嫌いになれる自信が無くなってしまうから――。
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