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太陽が入道雲から顔をのぞかせると、教室には今まで以上の熱気が入り込んでくる。
太陽光はガラスなんか無視して僕らの肌に直撃。男女構わずに「うわー」という小さな悲鳴が飛んだ。
「そうだなぁ。長崎屋のアイス奢ってくれたら今日の分の化学教えてあげる」
こいつ、と自分は内心で彼女を睨んだ。僕が反論できないし、そうするしかないことを分かっていての嫌みだろうか。
「わかったよ……。買えばいいんだろ」
「っしゃ!」
「おーい、そこの二人、少し静かにしろーー」
「「はーい」」
彼女、朱希は男っ気のある女子だった。それは昔からというわけではなく、中学校に入ったころ辺りからだっただろうか。それより前は少しは女の子らしくって好きだったのだが。
ツインに縛った黒い長い髪を揺らし、ケラケラと笑いながら反省の色も無しにただ先生の言葉に返事をした。それは自分もそうそう変わらないもので、反省の色など無しに淡々と答えた。
やはり暑い。これは朱希に奢る前に自分の分を早く買ってしまいそうだ。
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