1章

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 チャイムが鳴ると、人が教室を出入りする。化学は木曜日の6時間目で、憂鬱な時間が終わってクラスメイトも硬くなった体を伸ばして一息する。しかし学校はそう生易しくなくて、次に待っているのは掃除という、これまた憂鬱ばイベント。  自分は今週は教室の掃除なので、机を後ろに下げる。心やさしい人は下げるのを手伝ってくれるが、だいたいは同じ掃除の班の人しかやってくれない。 「なーごみん! 元気してたぁ?」  終始憂鬱。背後からの衝撃。それに耐える足。うん、痛い。首に回された彼の腕に少しずつ力が入る。死ぬ。死ぬから離してくれ。  そもそもこの7クラスもある学年で、同じクラスで同じ掃除の班なんてできすぎている。腐れ縁とはまさにこの事だ。 っていうか、「腐ってくれ、縁」という感じでそろそろ離れないだろうか。
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