1章

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 椋露地 真佳(むくろじ しんか)。 変わった名前の友人だ。っていうか、いつもつるんでいるやつは皆変わった名前なのだが。  真佳はいつも以上に上機嫌で俺の首を絞めてくる。 あぁ、そろそろ綺麗な川が見えてきた。  っと、そこで真佳は腕を離し、ケラケラと笑っている。さすがにこいつ、そろそろ殺人犯になるのではないだろうか。 「ッ……ゲホッ」 「おい、大丈夫かよ」  そう思うなら止めてほしい。 クラスメイトからの目は、もはや呆れたもので、これもそろそろ1年以上続いている恒例行事なのだ。 それに対抗出来ないのは、今日は木曜日で、だるい化学が終わったばかりで気を抜いているから。  振り返ると長身の、長身の(ここ重要)男子。真佳は中学校に入った時から馬鹿みたいに伸びた。小学校の時はいつものメンバー、女子も含めて身長を競ったものだった。こんなこと思い出すのは、やっぱり今の酸素不足からの走馬灯だろうか。  真佳はいつも元気100%で。某子供向けのあんパンではないが、それに値するくらいの元気さはありそう。  彼は噴き出しそうになりながらも掃除箱へ向かい、モップを取り出して廊下に出ていく。一応廊下も教室掃除の班の領分なのである。 ―真佳様が廊下を掃除するぜぇぇぇええ!!  廊下から悲鳴と共に酷い声が飛んできた。廊下を見るまでもない。真佳がまた暴れているだけだ。いつもの事に過ぎない。
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