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「――――――――――」
接着剤で止められていたかのような口を開く。パクパクと家で飼っていた猩々の金魚のように、口の開閉を繰り返す。人形のように固まった腕をベッドから天井に伸ばした。
頑なに開きたくもなかった瞳を、持ち上げるように開けた。見えるのは自分の真白い腕と、少しばかり色の落ちた白い天井。
それよりも、自分はこんなにも細かっただろうか。17年間生きてきてこんな細い自分の腕を見たのも久しぶりかもしれない。小学生から自分は成長する一方で、少しでも体重が上がるのが楽しみだったものだ。
しかしながらここまで細い腕には絶望よりも、吐き気を感じさせる。細い。それにこの空間の病的に似合ってしまうのが嫌だった。すぐさま腕をもとに位置に戻し、少しばかり荒れた息を整える。それにこんなに自分はすぐに疲れる人間ではなかった。そうだったかもしれないが、あからさまな事は無かったはずだ。
しかし、そう。そうだったという事実はあるが、確証が持てない。
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