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「お姉ちゃん…」
夜中、全く眠れず寝返りすると、清子がいつの間にかベットの横に静かに立っていた。
「どうしたの?眠れないの?」
『ねえ…お姉ちゃん』
「え?清…子?」
薄明かりの中、清子の口から発せられたように見えたが、清子の声でありながら清子の声ではない…どうしようもない違和感が私を駆け巡った。
『お姉ちゃん…そろそろ私に…その体…ちょうだい』
あんなに可愛らしく微笑んでいた清子が、今は口元をいやらしく歪ませ、目は冷たく真っ暗な闇を含んでいるように見える。
「清子…何の冗談?」
『うふふふ……もうすぐ…もらうね』
そう言うと清子は、こどもとは思えないようなを恐ろしい笑顔を見せて消えてしまった。
「きゃあー!」
悲鳴を上げた私のもとへ、両親が駆けつけてきた。
「どうしたの?大丈夫?」
「いやあ!清子が…清子が」
「何言ってるんだ?」
両親の姿を見て少し落ち着き、私は母に聞いた。
「清子が…あの子が…」
「あの子?」
「清子よ…妹の清子」
「何言ってるんだ?夢でも見たのか?」
両親の言葉に、私は2つの顔を見た。
「もう、あなたに妹なんていないじゃない」
「清子はおまえだろ?」
「……!」
そう…だ。清子は私だ。私が清子…私は一人っ子だった…
なら、あの子は……
あの少女は……いったい誰…?
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