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それから数日は頭痛はあるものの“清子”と名乗ったあの子は出てこず、私は休日に曾おばあちゃんのお墓参りも済ませた。
「明日、命日だね」
懐かしそうな目でカレンダーを見る母を見ながら、『そうね』と私は頷いた。
夜中、久しぶりに眠った気がしたが、やはり頭痛で目が覚めてしまった。
(2時30分か…嫌な時間…)
そう思った途端、私はまた体に重みを感じながら金縛りにあった。
『ふふふ…お姉ちゃん…ううん……き…よ…こ』
見上げると、胸の上にあの少女が乗っていた。
『もらいに…きたよ』
(いや…何故、私…?)
『何故…私…か。そうよね…何故……その“何故”の答えを私は何十年も求めてきた』
胸の上の少女は、冷たい目で私の目を見下ろし、雪のように冷たい手で私の首筋をゆっくりと撫でている。
私は恐怖で、体は動かないのに震えて歯がカチカチと鳴っていた。
『でも、“お姉ちゃん”のおかげで私はその疑問に触れることはなかった。だって、お姉ちゃんがいてくれたから…私は“何故”の気持ちを抑えていた……でも…お姉ちゃんは…もういない』
何を言っているの…?
この子の言ってる意味がわからない。
『ふふふ…私もね…清子なんだ。でも知ってるのは、お姉ちゃんだけ…だって私は…』
少女の目が次第に憎しみに変わって目尻がつり上がっていく。
その恐ろしい形相に、私は目を動かし逸らせることもできず、恐怖で息を飲み込みながら見つめた。
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