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早くも気分ダウンのあたしたち。
そのテンションを吹き飛ばすように夏芽が言った。
「よっし、6秒台めざす!」
「えぇっいけるの!?」
全力疾走する体操服たちの姿を眺めながらガッツポーズを繰り出した夏芽に、ぐりんと顔を向ける。
確か去年は7秒後半だったよね…?
「やる気があれば何でも出来る!美湖も8秒切れ!」
「えぇっ、ムリだよ~」
すると夏芽は眉を下げるあたしの肩をガシッとつかむ。
「あんたは本当は出来る子なんだよ!やる気がないだけで!」
「…そーなのかなぁ」
「そーよ、あたしが言うから間違いないのさ!」
「…そっか、そうだね!あたしやるよ!やり切るよ!!」
きらきらと瞳を輝かせるあたしたち。
友情って、美しい……!
――バサ
「………」
突然上からふってきた何かが頭に被さり、美しいムードをぶち壊す。
「それ持ってて」
………陽介。
見下ろす切れ長の瞳を、ギッと見上げる。
「もっと渡し方があるでしょお」
「洋紀、次体育館行こうぜ」
「うん、そうだね」
―――無視っっ!
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