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「傷」
静かに泣いたあたしの身体を、またベッドの振動が揺らした。
「思うより深くないから」
「……」
瞼を開けて、隣に座った陽介の声を聞く。
「…初めはアレだったけど、もう一応ちゃんとくっついて血ぃ流すことはなくなった」
「……」
「しばらく荒いことしなきゃちゃんと治る」
小さくコクと頷く。
目元をくいっと拭ってからあたしは、その身体に両腕を回した。
「……」
「…明日から、がっこ行くか」
ちょっと、言い過ぎたかな
きっとこれが、陽介の今の心情。
解る。
普段、必要最低限のことしか言えないのかってくらい無口な彼。
感情ってモノが無いのかってくらい抑揚のない口調の彼。
そんな彼のトーンは今、心なし優しい
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