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ホームルームが終わると皆それぞれ席を立ち教室を出て行く。
一時間目は理科室だ。
あたしはどうにも腰を上げることが出来なくて机に突っ伏していた。
「美湖」
掛けられた声に、せめて顔を上げるべきなのにそれすらも出来なくて。
「ごめん、夏芽……先行ってて」
「…保健室行く?」
「ううん、平気」
ゆっくりと遠ざかっていく二つの足音に、ごめんなさいと心の中で謝罪した。
心配、かけてる。
最低。
あたしは別に何もされてない。
むしろ全てはあたしのせいなのに。
あたしのせいで何もかもが上手く行ってないんだ。
あたしが居なければいろんなことがスムーズに運ばれる。
・・・なに、してるんだろう
なんでこんなことになったんだっけ。
数週間前に、陽介から、爽太に好きな人が居ることを知らされて。
見計らったようなタイミングで智乃が声を掛けてきて。
協力することになって。
二人は両思いで。
気に入らなくて。
勝手に怒って勝手に傷付いて、勝手に突き放した。
そう、ね。
ちゃんと頭で整理して、少し考えてみれば、こんなにも簡単に。
被害者はあたしでなくて
加害者があたしで
すべきことが見えた
あたしが、しなくてはならない、コトが
笑って 元気でいて 謝って 伝えて
身を引いて
見守ってて、あげる
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