一方通行

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ーーざわ 辺りの騒がしさに目が覚めた。 眠気眼をこすりながら視線を這わす。 午前の授業が終わったらしく昼食タイムに移っていた。 あたしいつの間に寝ちゃったんだろう。 ふと目がいくのは彼の席。 今日もあたしは彼の背中をさがす。 ……しかし、いつもそこにあるはずの背中は無かった。 「美湖!」 不意に名前を呼ばれて視線を動かす。 爽太の席とは逆側の端っこで、夏芽と亜子が向かい合ってお弁当を食べていた。手招きをする夏芽に誘われて席を立つ。 「おはよー美湖」 「おはよう」 微笑む二人に同じように笑みを返す。 「おはよう」 「すっごい爆睡してたねー」 「あは…いつの間にか」 「びっくりしたよー、理科室から帰ってきたら爽太と美湖二人して爆睡なんだもん。ねえ亜子」 「驚いたわね」 「アハハ、ごめんねえ」 「ていうか後藤先生がさー…」 ……そうえば、智乃もいないや。 いつもは自分の席でお弁当食べてるはずなのに。って、把握しちゃってる自分なんかキモいな…。 でもどこ行っちゃったんだろう。 なんで二人して居なくなるわけ? …もしかして、二人で一緒に食べてるとか。屋上、とかで。 「岩下さんなら保健室よ」 不意に誰かがポツリとそう言った。 え?と目をしばたたかせたあたしを見て微笑んだのは、亜子だ。 「岩下さんなら、保健室。爽太は分からないけど…ごめんね」 「えっ、あっ…」 「ふふ、美湖ったら、考えてること顔に出過ぎなんだもん」 どもるあたしを見ながらクスクスと笑う亜子。 かああっと顔が熱くなるのを感じた。 「…ふ、ホント可愛いんだから」 「……あ、亜子って、エスパーだねっ」 「ぶッ!みっ美湖ってほんと天然ーー!!」 「夏芽米粒飛んだわよ」 「エッ」 お箸片手に口元を覆う夏芽。 亜子は気にする様子もなく丁寧におかずを口に運んだ。 ふ、と笑みが零れる。 楽しくて、可笑しくて、優しくてあったかい。 大好き。 ーーパチ あたしは気合いを入れるように軽く自分の両頬を叩いてみた。 「では、あたしちょっと、行ってきます」 「おー、行ってらっしゃいなー」 元気な夏芽の声と 優しい亜子の笑顔 よっし。 充電まんたん! .
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