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ーぐいッ
「ーー・・ッ!」
掴まれた肩を振り払った。
制服を思い切り掴まれる。
捕まった。
「逃げてんじゃねえよ!」
真正面から怒鳴り声を浴びる。
ヒッと身を縮めたあたしに舌打ちをした彼女は、あたしに乱暴をした三人組の女子生徒の一人。中心になって暴行を奮った少しふくよかなあの人。
「ほら、来いよ」
腕を引かれる。
抵抗したあたしに彼女は苛立った口調で声をひそめながら言った。
「岩下智乃がどうなってもいいのかよッ?」
「ーー?!」
目を見張ったあたしににやりと笑う。
「……ッ、ち、智乃に、何か…ッ」
「ぷッ、智乃って呼んでんの?岩下さん友達居たんだ~」
クスクスと笑う彼女に戦慄した。
さっきから震えていた腕が比べものにならないくらいにガクガクと振動し出す。
「ち、智乃に、何もしないでッ……」
ーバチン!
打たれた頬を押さえた。
凝視する瞳を彼女はダルそうに見やった。
「ウザイ」
「……」
目を逸らしきびすを返すとあたしの腕を強く引く。
その手をあたしは振り払った。
駆けだした正面、駆け足で近付いてくる影がある。
その顔を確認してあたしはまた酷く心臓を呼応させられる。
「ーーあっ!……あーアイー、捕まえてー」
「ユカ大丈夫ー?」
構わずに駆け出したあたしを抱くように捕まえた彼女も、あの三人組の一人。
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