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ーー・・なっ!?
「岩下智乃!今後一切アタシに逆らわないって誓え!」
喚いた彼女に誰もが唖然とした。
彼女は一体、何がしたいのだろうか。
そして何を思ったかユカは直ぐそばの机の上の入れ物にたてられていたハサミを引っつかむと、人質となったあたしの首もとにあてがった。
ドックンと、心臓が鳴った。
チカと、流石に今度ばかりはアイも、目を見開いて凝視する。
「ほら!土下座だよ、土下座!!」
響く大きな喚き声とは対照的に、返された声は静かなものだった。
「……あんた何してんの…?」
しかしソレは、どんな冷たい声よりも、どんなに荒い声よりも、強い思いが込められていることをあたしは知っている。
そして興奮しきったユカは気付かない。
その発音の異なりに。
「口答えすんのかよ?!」
「……離せや」
「コイツがどーなってもいいのかよ!!」
「お前その子にちょっとでも傷入れてみ…?顔の原型分からんよおにすんで」
ゾクリと、背中が総毛立つのを感じた。
耳元でユカの荒い声をきいた。
何を思ったか分からない。
ただこの腕からどうしようもなく逃れたくて、あたしは思わずその腕に手を触れたのだ。
それに対してユカが過剰反応を示したのはいうまでもない。
「ーー動くなあぁぁ!!!」
ーーシュッ!
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