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どうしたら友達という関係になるのか。
「友達になろう」って口にしてから?
でも夏芽たちのときってそんなこと言ったっけ。
じゃあどんな条件が必要なのだろうか。
でも、言葉にするという何より簡潔な方法が用いられなかった場合、結局、一生、今の智乃のような台詞で逃れることが出来てしまうということにならないかしら。
自分が想えば相手もソウだと思い込んでしまったけれど、一方通行の可能性が、あるのね、“友達”という関係には。
知らなかった。
「だって美湖、私には何も言ってくれないじゃん」
智乃が笑った。
その自嘲に歪む唇を見やった。
どうしても、目を見ることが出来なかったからだ。
「爽太君が好きなことも」
「……、」
「今のことだってさ」
「……コレは、智乃に迷惑をかけたく」
「迷惑だなんて思わない、友達だったら」
「ーーッ」
なんでこんなことになったのかわからない。
何が起きたんだろう。
だってほんのついさっきまで、普通に
「あの二人には何でも言う、友達だから。私には何も言わない、友達じゃないから」
「……っ」
「それでつじつまが合うじゃん!」
ーーガラガラッ
突然ドアが開いた。
付近にいたあたしたちは一緒になって驚き、そこに現れた影を凝視した。
そしてギクリとなる。
「何やってるのあなたたち!?」
保健室の先生が帰ってきたのだ。
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