172人が本棚に入れています
本棚に追加
「爽太君ともっと近付きたいと思ったから美湖に近づいたんやで」
「…」
「ワタシ美湖が羨ましいわ、本間に。でもおんなじくらい、爽太君にあんなに想われてるアンタが妬ましい。ムカツクし、居なくなればいいって思う」
何も言わないあたしを彼女は再び見上げた。
色の無いその瞳に映るあたしは、どんな表情を見せているのだろうか。
「美湖、聞いてる?」
「…うん」
「……ま、そうゆうことやから」
立ち上がろうとした智乃にあたしはやっと声を掛ける。
「あたしはッ……!」
「…」
「………じゃあ、…全部、嘘……?」
何が、と呟く智乃。
「…教室で話したときとか、廊下で言ってくれたこととか、」
「…」
「今のセリフは…っ?」
息を吐いた彼女にズキンと胸が痛む。
「そんなん自分で考えや」
「…智乃っ」
「だからもっかい、ゆうでっ?ワタシはあんたを利用しようとしたの!」
「そんなのッ」
「そんなの構わないって!?」
遮られた台詞を呑み込む。
唇を噛み締めた。
……『そんなの初めから解ってた』
知った上で彼女と関わりを持って、その上であたしはアナタを、智乃を、好きになったんだよぉ……ッ
最初のコメントを投稿しよう!