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「美湖ー!」
名前を呼ばれて顔を上げる。
笑顔の夏芽と、その隣に亜子。
「取りあえず明日はウチ集合ねー」
「うんっ」
明日から夏休み。
夏芽の言葉に笑顔で頷き、カバンを手に取り席を立った。
「映画でしょー、プールでしょー、お祭りでしょ、お泊まりもいっぱいしなきゃ!」
「うんっ!」
うきうきわくわくのあたしと夏芽の隣で亜子が優しく微笑んでいる。
「あーほんと楽しみ!」
「宿題もあるけどねぇ」
「美湖それ禁句!」
「ふふっ」
相変わらず、あたしたちはとっても仲良し。
この関係は一生変わらない気がするんだよねえ!
「爽太!」
ぴくん
「やっべー!おまえサッカーの予定表見た!?休みなさすぎ!お盆に3日だけだぜっ」
「おー見た見た!ありえねーよなあ」
ぼうっと会話に聞き耳を立てているあたしの髪を、不意に亜子が優しく撫でた。
「部活ある子は大変ね」
「まったく。帰宅でよかったー」
くすりと亜子は笑って、夏芽はきゅうとあたしを後ろから抱きしめた。
「…うん。そうだね」
気を遣ってくれてる。
あたしが、いつまでも引きずってなんているから…。
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