コンプレックス

4/25
前へ
/251ページ
次へ
本当に、人生何が起こるか分かんないなんて、よく言ったもんだよね。 有り得ない事なんて無いんだって思い知らされた。 あれから結局、あたしと爽太がろくな会話を交わすことは無かった。 もうぶっちゃけちゃうけど、後悔してる。 そうなるのに差ほどの時間もかかっちゃいない。 爽太の声を聴く苦しみよりも、 会う苦しみ触れる苦しみよりも、 それらが出来ない苦しみの方が何百倍も何億倍も苦しいことに、気付いた。 ほんとにあたしは大バカだね。 救いようもないね。 あたしは残酷だ。 そして彼も。 なんだかんだ言ってね。 本当はね。 あんなこと言って突き放して、それでもしつこくくっついつくるのを期待していたんだよきっと。 史上最強の、最低の、傲慢やろうね。 ペットは飼い主のもとに戻る、って。 爽太はペットじゃないもの。 何が愛犬だ。 偉そうに。 あたしは何様のつもりだったのよ。 ・・・たけど爽太だって。 貴方だって。 これ見よがしにしっぽ振ってすり寄ってきたのも、事実じゃない? だけど、可愛がってくれねーならいらねえよ、って、いうノリね。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加