コンプレックス

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「ーー離せっ、オレを痴話喧嘩に巻き込むなっ」 「誰が痴話喧嘩ってぇっ?!」 みこが わすれてもいいように 3枚 もってくるな 海へ、川へ、プールへ、足を運ぶ度に君はこの約束を思い出してくれていたのかな。 とうのあたしは覚えてさえいなかったのに。 爽太は、約束を、破ってなんかいなかった。 今もずっと、これからだってきっとずっと、あたしを守ってくれるだろう。 あたしを守るために生きてくれるだろう。 そう、破ってなんかいない。 あたし“だけ”を守る、だなんて、そうは言っていなかったんだから。 あたし以外の誰を守ろうと、他に10人いようが100人いようがあたしを守ってくれているのならそれはきちんと約束を果たせているんだ。 でも、じゃあ、もしも 二人同時に守らなければならない場面に遭遇してしまったなら、その時はどうするの? どちらかを選ばなければならなくなったなら、捨てられるのは、どっち ……………なんだ ただ今たまたまそういう場面がないだけで、いずれはあたし、捨てられるんじゃん。 あぁ。 流されるところだった。 「ーーーーいらない」 いらない 期限付きのナイトなんていらない 「あたし泳がない」 こっちから捨ててやる
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