コンプレックス

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ーーそんな感じで、史上最悪な雰囲気でスタートされたこの日。 ・・・だけどなんだかんだ言ってあたしたちってまだ子どもだしね。 最強に単純なわけでして……… 「ーーーッほぉーーーイ!!」 「きゃゃあああああぁぁぁぁ」 非常に楽しんでおります・・・! 「アハハハハっ、ちょお美湖亜子もっかい急流すべり行こー!!」 「うん、いくーー!!」 「ふふっ」 さっきのこともあり初っぱなから男女別行動で遊んでいたあたしたち。 もう、究極に楽しんでる。 ここにはもう何回も来てるけど、中学生にはまだまだ楽しめるっ!! 「もうすぐ12時半だね、これ乗ったら待ち合わせ場所行こっか」 「わあ、もうそんな時間なんだっ」 プールランド内のアトラクションの列に並びながら、大きな時計塔に目を向けた夏芽。 この後みんなと合流してお昼ごはんを食べて、同じ施設内にある温泉に行くんだ! 毎度のお決まりコース! 「美湖、トイレに行きたいの?」 不意に尋ねられたセリフにドキリとした。 いつも必ず少し上げられた口角で、そう言ったのは亜子だ。 実はさっきからトイレに行きたくてうずうずしてたんだよね。 ズバリ言い当てられちゃったあたし。 「う、あ、バレちゃった?」 「ふふ、そわそわしてるから」 「うん、でも、順番までもうちょっとだから我慢しようかなって」 「えー、マジ?…まあ、一回抜けちゃったら戻りづらいしねえ」 片眉を下げた夏芽にこくりと頷きながらも、言葉に出したら余計にせり上がってきた尿意。 ……うあ、もう、やばいな、 「ーーやっぱり、行ってくるっ」 「えっ、えっ?!もう順番」 「もれちゃう!!!」 走り出した背中に、夏芽の叫び声と従業員さんの「は~いおまたせ~」なんていう爽やかな声とが同時に聞こえてきたけど、あたしは構わず駆け出した。 普段一人で行動することなんてないあたし。 「かき氷買ってきてあげる。待ってて」なんて言えないあたし、情けないけどもちろんトイレだって俗に言う連れションてやつね。 ほんとうに、情けないけど。 だけどあたしはそういう子。 ーーーだけど今はちょっと別問題! だって漏れちゃうんだってば!!!
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