コンプレックス

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「気持ち悪ぃんだよオッサン!」 「また蹴られたくなかったらどっか行きやがれ!」 自分よりも一つか二つくらい下に見えるその男の子たちは、仁王立ちでオジサンを睨み付ける。 そんなオジサンはというと、なんともあっけなくバタバタと走り去って行ってしまった。 恐怖が拭われたとホッとするのも束の間、今度はあたしに視線を変えた少年たちの瞳にドキリとする。 「ねえねえ、こんなとこで何してたの?」 「気分でも悪いの?ねぇ君いくつ?」 「…………っ」 なんとも言えないイヤな笑みを浮かべる彼らに、こちらも何ともいえないイヤな汗が流れる。 ふと少年の視線が胸元に下げられた。 「シャツ、透け透けだぜ?エロ」 「逆にエロくてあんなんに目ぇ付けられんじゃん?ぬいじゃえば?」 ーーぐいっ 「ーーッ!」 悲鳴を上げる余地すら無かった。 なんのアクションもなしに、急にしゃがみ込んで急に腕を伸ばし、一気にシャツをまくり上げたその手。 無防備に晒された、傷を負った背中。 「ーーげっ!!」 「うぁっ?!なんだこりゃっ?!」 ・・・! ーーーだからだよ 見てよこの反応この表情 コレが、あたしのカラダだけじゃなくココロにもダメージを負わす、あたしの、大きな、 コンプレックスよ・・・! だからだよ だからあたしはずっとずぅっと、こんなにも執拗に、この傷を隠す 「ーーーーー美湖」 ーー・・・ほろ 「ーー・・美湖、」 ー・・ぎゅう、ぅ、 不意に伸ばされた腕をとった。 覆われた体温にすがりついた。 急に零れた涙のワケ 何故か目の前に、爽太がいた
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