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ードクンッ
心臓が、ひどい悲鳴をあげた。
勢いよく立ち上がる。
ズカズカと早足で彼の元へ行った。
ちょうどいいタイミングで振り向いた彼の胸に、黒い電子機器を押し付けた。
「ーーえっ、なに」
『爽太君?』
驚いて目を見開く彼の耳にも届いた彼女の声。
あたしは目を合わせることなくすぐさま踵を返した。
「……岩下?」
出て行きゃいいものを、わざとその場に居座った。
勉強机の引き出しをがちゃがちゃと探る。
あるわけないのに。こんなところに。
「…あぁ悪い。うん、…うん」
そうして彼の言葉をきく。
彼らの会話をさぐってる。
両手の平を胸の前で握り締める。
イヤな、おんな、
「いやいーって、家まで来る必要ないじゃん、遠いのに」
……いえ、
「ほんとにいーよ、だったらオレが行くよ」
遊ぶ、約束
お互いの家、知ってる
「だからあそこのスーパーでいーじゃん、中間だろ?……うん、ハハッ。分かってるって、…うん、うん……」
・・・・・嫉妬
ってさぁ、
もっと可愛いものだと思ってたの
少女マンガでよくあるような、ね。
ヤキモチやいて、そんな女の子を男の子は可愛いなぁって、思うんでしょ。
嬉しいんでしょ。
……でも違う。
本当の嫉妬はちっとも可愛くなんかない。
ぐるぐるぐるぐる思考回路は狂いだすし
ギチギチって、胸の痛み。
本当の嫉妬は醜い
こんな感情、嬉しくなんかない
気持ち悪い、重い、コワイ
あぁ
なんだ、コレ
つら、
つらい
つらいよ
しにそう
「ごめん美湖、」
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