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新学期
始まって二週目の朝
担任の森ちゃんこと森崎愁一が教卓の前でいつものようにダルそうな態度で声を発する。
「ーーーてことで、二限は理科室だからなちゃんと移動しとけよー。以上」
そう言ってからのっそりと上げた顔がふと窓際の前から4つ目の席へと向けられた。
あたしはドキリとして、その視線の先を追うことができなかった。
「ーー上地」
新学期の一番最初の日に、席替えをした。
願いはむなしく席は離れ、あたしは真ん中の一番後ろだし、爽太は窓際の前から4つ目の席になった。
最後に期待した日直も、あたしは赤井さんとだったし爽太も榎本さんとペアで見事に分かれた。
もう接触を望めない
ため息が漏れた
「と、飯島」
「ーーへっ」
いつの間にか森ちゃんの視線があたしにあった。
「おまえらはこの後すぐ職員室に来い。」
・・・・・。
あまのじゃくだとおもう。
散々突き放して、もう次の瞬間には淋しいなんて。
どんなときもおもうのに。
爽太が居なきゃつらい。
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