八つ当たり

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「おまえらなめてんのか」 森ちゃんが教室を出て三分くらいでショートホームルーム終了のチャイムが鳴ったから、あたしはすぐに職員室へ向かった。 本当は先生だってチャイム鳴るまで教室に居なきゃいけないんだけどねっ。 「みこーーあんたどーせテストでしょーっ?!」 って亜子と夏芽に呆れ顔を見せられたし、自分でも自覚はあった。 だから目の前で森ちゃんが片手にぴらつかせてるその紙。 一瞬で何が記されてるか把握したし。 あたしたちの成績表 「お前らなあ、学年べったなんだよ」 「……」 「……」 もちろん隣には爽太。 肩がくっつくくらいの距離で隣り合って森ちゃんを見下ろしている。 新学期が始まると5教科のテストがある。 夏休みに出された宿題の中から作られる問題。 まぁつまりは宿題さえきちんとしておけば赤点は取らないんだけど。 「宿題は?」 「…」 「早よ出せや」 ・・・。 黙ってるあたしたちに森ちゃんはイライラ顔。 「上地。お前には部活の謹慎処分だ」 「えっ?!」 「飯島はむしろ時間が有り余ってるみたいだし校内の掃除でもしてもらおうか」 「ーー……っ」 共に二週間だ そう言った担任の言葉にあたしたちは考える間もなく言葉を発する。 「「ーーま、まって森ちゃん…っ」」 なんだよとじろりと睨まれると、反論の余地なんてない。 「ま、上地もどうせ暇になるんだし一緒に掃除してやれ。わかったか?」 以上と言って椅子を回し机に向き直ってしまった森ちゃん。 「あーたばこすいてぇ」 最近禁煙始めたせいでいらいらするんだよな~ なんてぼやいてる森ちゃんに、苛立ってるのはいつもだ!なんて頭で悪態をつく。 森ちゃんはこの夏奥さんの妊娠が発覚したんだって。 無愛想なこの人も、はちきれんばかりの笑顔を浮かべて奥さんを抱きしめたりしたのだろうか。 きゃーーー想像できないっ だけど禁煙なんかするなんて、それが森ちゃんにとっての最大の愛情表現。
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