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―パリーンッ!
「キャッ!」
「「ーー!?」」
突然、ガラスが割れるような音と小さな悲鳴が響いた。
驚いて勢いよく振り返る。
「岩下っ」
見ると、うずくまって足首をおさえる智乃の横に、バラバラになったビーカーらしきものがあった。
すぐに爽太が智乃の元へ飛んで行ったのを見て、 あたしはとっさに放り出したほうきに目をやる。
「岩下、大丈夫か?」
「う、うん。平気」
そういう智乃の顔は少し青ざめているように見える。
それからふいと目を逸らして、あたしはしゃがんで無惨に放り出されたほうきに手をやった。
ごめんね、ほうき
急に投げたりなんかして。
痛かったでしょう?
なんて言ってみたりしてね。
「ーーちょ、おいっ!大丈夫じゃねぇだろっ!」
急に大声を張り上げた爽太にビックリして顔を上げる。
えっなに、なに、?
「足っ血ぃ出てんだろっ!」
ーーーえっ
立ち上がったあたしはそのまま目を見張る。
彼の言う通り、智乃の右足首から床にいくつもの滴を落とすほど大量の血が流れていた。
「ーー智乃っ!」
頭で考えるよりも先に体が勝手に動いてた。
爽太と同じように、ううん、もっと早く智乃の元に飛んでいく。
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