八つ当たり

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「ち、ちのっ……!!」 爽太を横に押しやって、そっと智乃の足首に触れる。 2人はすごい勢いで飛んできたあたしを、すごく驚いた顔をして見てる。けど気にしない。 あたしは智乃の腕を自分の肩に回した。 「ほ、保健室…」 ――パシ。 「…やめて」 ・・・。 肩に回した腕は、キレイなその手ではたかれた。 俯く智乃。 小さく口を開く。 「…血が、つくから…」 「…っそんなの、全然構わないよっ、」 あたしは頼りない声で言い返す。それでも必死に、力を込めて。 けれど智乃は、俯いたまま言った。 「…大丈夫だから。余計なことしないで」 ―――・・。 余計な、こと‥‥。 「…岩下、」 困ったような表情であたしたちの顔を交互に見る爽太。 「………」 智乃は黙ったまま顔をあげようとしない。 「…で、でも保健室…行かなきゃ」 「わかってるわよ」 ―ビクッ!。 こんなに冷たくされるのは初めてで、どうしていいかわからない。 「…ごめん」 あたしは、咄嗟にただ謝ることしか出来なかった。
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