祠と雨狐

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私の家の近くには祠があって、小さな狐の像がたっている。むかしお祖母ちゃんに聞いたのだが、この祠にはお稲荷さまが祀ってあるそうだ。 別段信仰心があるわけでもないのだけれど、通学路の途中にぽつんとたっているので、少し可哀想な気がして、いつも手を合わせてから通る。(たまに食べかけのスナック菓子をお供えをすることもある) とある雨降りの金曜日、傘を持っていなかった私は、駆け足で帰路を急いだ。 雨足がだんだんと強くなって来たのではやく帰りたいと思い、すばやく祠に手を合わせて、また走り出そうと足を踏み出したところで、誰かに腕を掴まれた。 「?!」 後ろを向くと、見知らぬ少年が私の腕を掴み、アニメ映画なんかでよくみる大きな葉っぱを私に差し出していた。
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