祠と雨狐

4/9
前へ
/9ページ
次へ
少年の、切れ長の目に見据えられて、私はなにも言えなくなってしまった。 「はやくかえれ、濡れるぞ」 この少年をおいて帰るのも申し訳なかった私は思い付いた。 「じゃあ、帰るから、あなたもうちにこない??」 「え」 細い目を少しだけ見開いた少年がなんだかきれいで、ちょっと見とれてしまった。 「…この葉っぱ、もらったお礼になにかしたいの。お菓子くらい出すから、うちに来て」 少年の目が輝く。 「お菓子って、あのいつものやつか??!」 「え??いつもの……??」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加