嘘と告白のjuvenile

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 実際そのイベントが行われたのは、案の定と言うべきか、翌日土曜だった。僕が月曜の学校で美羽に土産話を聞かされた時に分かったが、例の日記通りの出来事が起こったらしい。  ……どうしてかは分からない。ただ事実として、僕の携帯は美羽の明日の日記を映すのだ。  毎夜毎夜更新される好きな女の子の明日。僕は、美羽の日記に夢中になっていった。自分の日記なんて全く掲載しないけど、美羽の明日が知りたい一心で、僕は何度もSNSを覗いた。  これが新聞だったなら、ルネ・クレールよろしく競馬で大当たりでもするんだろうけど、紡がれるのは平々凡々な幼なじみの日常なわけで。はっきり言って、不思議という以外には何の変哲もない日記。でも僕にとっては特別で。その日記は大いに僕の興味を喚起した。  お陰様でこの1ヶ月間、僕は目を離せずにいる。日記にも彼女にも。  ……いや、目を離せずにいた、と言うべきだな。  今、まさにこの今、0:07。  僕は心底後悔している。見なければ良かったと。  なんだろう。肺が冷たい。窒素を流し込まれたように。右心房から血が漏れてるんじゃないかと思うくらい、内側がべたべたする。  いつもならオカルトなんて信じないのに、信じてしまっている自分がいるのは、自業自得。僕がずっと彼女の明日を覗いていたせいだ。  自分の手元、画面に映る明日の記事には、僕の名前。幸太の文字。  そして、連なる文面。 『今日、ずっと好きだった男の子が亡くなった』と。 『どうして死んじゃったの?』と。  嘘みたいな内容が、嘘みたいに鮮明に。  信じたくなどない。嘘だと言って欲しい。当たり前だ。  でも、何度双眸をこすっても、その日記は変わらなかった。 『どうして幸太なの?』と。  どうやら。  どうやら……。  僕は明日死ぬ。  オチだけはきっちり同じとか。笑えねえよルネ・クレール。これじゃジュブナイルにもなりゃしない。  ……ああ、  僕は明日、どうするんだろうか。      × × ×  
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