第一章

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「ねぇ、今日って何日だっけ」 それは本当に日付を知らないわけではなく、ただ単に現実逃避したかった為の発言だった。 本来天井があるべき部分を見つめているその瞳の焦点は、暑さのためか、現実から目を背けたいからなのか、左右で見る点が異なっている。 少年の名はリュウタ。 本名であるのかは分からないが、この街で必要なのは本名ではなく、呼び名なので特に問題は発生しない。 この少年、15年間この天樂街で過ごしている。 大の天樂街ファンという変態などではなく、ただ単に出ることが不可能だっただけだ。 理由は本人にでも聞いて欲しい。 生まれてから一度も天樂街の外に出たことがない。 殺されかけたことは数え切れないほど。 人を殺したことも自慢ではないが少なからずあるそうだ。 ちなみに初体験は父親。 おっと。 初体験と聞くとエロいと感じるのは思春期の性であり、 なんら恥ずべきことではないから安心しよう。
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