第一章

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少年に部屋の中を物色されている中、 男は息を殺しながら眠りにふけっていた。 いや、息を殺しながらという表記には誤りがあるか、 この男は息を殺しているのではなく、 実際問題、息をしていないのである。 身体からとめどなく流れ出る血液の多さから見ても、 すでにこの世を去っていることは明白であった。 その為男の下敷きになっている紙幣には、 潤うほどの血液がしみついていて、到底使い物にはならない。 さっき、少年が沢山の紙幣に目を向けなかったのはこの為だった。
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