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少年に部屋の中を物色されている中、
男は息を殺しながら眠りにふけっていた。
いや、息を殺しながらという表記には誤りがあるか、
この男は息を殺しているのではなく、
実際問題、息をしていないのである。
身体からとめどなく流れ出る血液の多さから見ても、
すでにこの世を去っていることは明白であった。
その為男の下敷きになっている紙幣には、
潤うほどの血液がしみついていて、到底使い物にはならない。
さっき、少年が沢山の紙幣に目を向けなかったのはこの為だった。
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