第一章

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少年は部屋全体を見渡した。 壁には真っ赤な血が飛び散っており、 床には男の足と思われる品が無造作に転がっている。 誠に残念なことに、 少年には四肢回収マニアや欠陥フェチなんていうマニアックな趣味がなかったため、 一瞥するだけで、さして興味は生まれなかったようだ。 少年はおもむろに、 倒れている男性を足蹴でひっくり返した。 足に、異臭を放つ赤い液体がついたが気にしない。 むしろ気になったのは、 男のお腹。 そこには、 あるべきはずの心臓や肝臓、さらに胃や十二指腸まで全ての臓器がきれいさっぱり抜き取られていた。 代わりにお腹の中にまで紙幣が詰め込まれていたが、これで機能するのは到底無理だ。 昔テレビか雑誌で見た、くりぬいたかぼちゃにシチューを入れている料理があったが、 今それが頭に浮かんだのはきっと単に腹が減っているからだろう。うん。 金目当ての犯行だろうか? ……いや、それなら腹に金を詰め込んでいく必要性がないか。 つまり、臓器目当てなのだろう。 なんて行動力のあるドナーなんだろうね。全く。
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